ラベンダーは、世界中で栽培されているハーブです。
日本人にとっても、もっとも馴染みのあるハーブのひとつと言ってよいでしょう。
北海道のラベンダー畑はとても美しいですよね。
ハーブに興味のない人でも、ラベンダーの花なら、なんとなく色やかたちが思い浮かべられるのではないでしょうか。
アロマテラピーに使われるエッセンシャルオイル(精油)にはたくさんの種類がありますが、なかでもラベンダーはとても使い勝手のいいマルチな精油です。
手づくりコスメにも欠かせない1本なので、ぜひラベンダーの精油を常備しましょう。
マルチに活躍するラベンダー
ラベンダーは、シソ科の常緑性低木です。
日本では、1937年頃に栽培が開始され、いまでは全国で栽培されています。
その種類は100種以上といわれ、世界中で愛されているラベンダーは、「ハーブの女王」と称されることもあるほどです。
ラベンダーの精油は、アロマテラピーを実践するうえで、基本となるとても重要なもの。
なぜかというと、香料というのは、天然のエッセンシャルオイルといっても、肌には刺激になったり、アレルギー反応を起こしたりするかもしれないというリスクが常にあります。
自然療法の1つである漢方と同じように、副作用のことも考えなければなりません。
その点、ラベンダーの精油は、あまり心配しないで気軽に使うことができます。
ラベンダーには、医療用に消毒や鎮痛・炎症鎮静剤としてずっと使われてきた歴史があるからです。
たいていの精油は直接肌に触れるのはよくないのですが、ラベンダーは品質のよいものであれば肌につけて治療に使うこともできるほど安全性が保証されているものもあります。
その一方で、エッセンシャルオイルは効能を期待した使われ方もします。
たとえば、フランキンセンスにはリラックス効果、パチュリには抗菌効果、ローズにはスキンケア効果といったものが期待され、ラベンダーにはそれらすべてがそろっていると考えられています。
さて、ここから実践編です。
アロマテラピーで最もよく知られているのは、アロマディフューザーを使った方法ではないでしょうか。
アロマディフューザーというのは、エッセンシャルオイルを入れることができる加湿器で、水のミストとともにエッセンシャルオイルの香りを拡散させるものです。
とても心地よくておすすめですが、使い勝手のいいものを手に入れようとすると、けっこうお金もかかります。
もしアロマテラピーを始めてみようと思っている方なら、最初は丸めた脱脂綿をいくつかビンに入れて、そこにラベンダーの精油を数滴たらしてみてください。
スプレーで水をかけてあげると、香りが広がりやすくなりますよ。
オフィスなどでは、ティッシュにラベンダーの精油をしみ込ませてデスクに置くだけでも、香りの癒し効果が得られます。
浴槽に4、5滴のエッセンシャルオイルを入れて、手軽にアロマバスを楽しんでもいいですね。
専用の道具がなくても、ラベンダーの精油が1本あれば、かんたんにアロマテラピーを始めることができます。
化粧水を手作りする場合
市販の化粧水では肌に合わないという人には、ラベンダーのエッセンシャルオイルを使った簡単な化粧水がおすすめです。
手作りコスメの場合、保存料が入っていませんので、比較的短期間で使い切って、新しいものに切り替えましょう。
かといって、神経質に日にちを記録したりする必要はありません。
夏は早めに、「そろそろかな?」と思ったら、新しい化粧水を作ります。
「残ってしまった分はどうしたらいいの?」…はい、心配いりません。
そのまま少し大きめのスプレー容器に移し替えて、エア・フレッシュナー(芳香剤、消臭スプレー)として使います。
アイロンがけの時に布を湿らすのに使ってもいいですね。
ラベンダーのエッセンシャルオイルそのものに保湿の効果がありますが、さらにグリセリンを保湿成分として加えることもできます。
石けんに含まれる保湿成分と同じものなので、それを自分の肌に使えるかどうかの目安としてください。
グリセリンは優れた保湿成分ですが、吸湿性があるので入れすぎないことがポイントです。
精製水もグリセリンも、ドラッグストア等でかんたんに手に入ります。
保湿クリームを手作りする場合
乳化剤を使わないので、分離しないようにつくるコツをつかむのが少々むずかしいかもしれません。
密閉した容器に入れた生クリームを10分くらい振り続けるとバターになる、ってご存知ですか?
化粧品のクリームも、バターも、同じ「乳化」という現象でできています。
生クリームからバターをつくるイメージで、冷めるまで気を抜かずに混ぜ続けましょう。
急に冷えると分離しやすいので、冷めにくい容器を選んでください。分離してしまった場合、捨ててしまうのはもったいないと思ったら、電子レンジで再度溶かせば乳化のプロセスをやりなおすことができます。
化粧用のオイルは比較的かんたんに手に入りますが、みつろうはアロマテラピーのお店やオンラインショップでないと購入が難しいかもしれません。
また、みつろうの代わりに、常温で固まるシアバターのようなものを使って、しっとりしたクリームをつくることもできます。
ラベンダーを育ててみる
ラベンダーには湿気に弱いという性質がありますので、日本では梅雨のない北海道でよく育てられています。
でも、湿気と気温に気をつければ、育てにくいということはありません。
精油を使うだけでなく、ラベンダーを育てて花を乾燥させ、ポプリなどでその香りを楽しむのもいいですね。
おすすめしたいのは、ポプリなどに使ってあまったラベンダーの花や茎を玄関口や庭先にまくこと。
出かけるときや帰ってきたとき、誰かが踏みしめるたびに、ふんわりといい香りが漂います。
アロマテラピーの最初の1本としておすすめしたいのが、このラベンダーの精油です。
旅行のおともとして持ち運ぶのにも最適。
少し手間をかけられるなら、化粧水やクリームをつくって、その香りと効能を味わってみてください。